ヒップホップダンスを基本から学んで、27日間でプロ並みに上達する方法。

ダンスにまつわるエピソード(その24)

(※とある男性の手記です)

 

自分が高校生の時、ダンスが得意と噂されている男教師がいた。

 

うちの高校には、先輩から代々、何ともなしに語り継がれている伝説が数多くあった。それは、○号棟○階の北側トイレには幽霊が出るといったよくある怪談話の類いのものから、○○先生(男性)は実は女性であるといった(恐らく)事実無根のもの、はたまた、学食のおばちゃんと事務の○○さんが昔結婚していたのだが離婚してしまったというような真偽のほどは実際どうでもいいものまで(単に苗字が一緒なだけでそう言われていたんじゃないかと・・・しかも、離婚したなら逆に苗字が一緒なのはおかしいだろうという思考に至らないところが何とも高校生レベルというか何というか・・・(笑)。たまたま旧姓が同じだったとか、離婚はしたけど仕事上はそのままの名前で続けているといった可能性はあるにせよ、当然、誰もそこまで考えている訳ではなかった)、とにかく様々な内容であった。

 

とある男教師がダンスが得意だというのも、そのうちの一つだった。そして、彼に対して、「Let’s dance!!」と叫ぶと、その場で素晴らしいダンスを披露してくれるというのである。もちろんこの話も、他の数々の伝説と同様、万人が納得出来るような根拠らしい根拠は全くなかった。

 

真偽を確かめようと思えば決してそれは不可能ではないという伝説も数多くあったが、これもその一つだった。何せ、その男教師の前で、「Let’s dance!!」と叫んでみればいいのだから。とはいえ、実際にそれをやってのけるような勇気や甲斐性を持っている者は、これまで残念ながら一人もいなかったようである。つまり、自分の代だけでなく、これまでの代々の先輩方の中にも、それを実行した人間は一人もいなかったようなのである(いつこの伝説が生まれ、囁かれ始めたかは自分の知るところではないが、色々な先輩の話を聞いて総合的に判断する限り、少なくともここ数年来というレベルではなさそうであった)。

 

そんなある日、業を煮やして(という表現が正しいかどうかは分からないが)、ついに自分の友人の一人が、こんなことを言い出した。

 

「おれ、今度言ってやるよ。そしたらおれが伝説になるかな?(笑)」

 

そして後日、件の男教師の授業にて。

 

授業が始まるなり、いきなりつかつかと前に歩み出た件の友人。そして自ら軽やかなステップを踏み始めたと思ったら、おもむろに大声で

 

「Let’s dance!!」

 

うわー!怒られる!と誰もが思った、次の瞬間。

 

 ・
 ・
 ・

 

さて、どうなったか。

 

 ・
 ・
 ・

 

なんと、伝説通り、件の男教師が、凄い勢いでダンスを始めたのである。それはもう、見事なヒップホップダンス。伝説が本当だったということがまさに証明されたという、それこそ伝説的な出来事に、自分のクラス全員が立ち会った歴史的瞬間だ。

 

伝説の検証を快く受け入れてくれたその教師の懐の深さを知ると共に、得意だと言われていたそのダンスの素晴らしさに、教室内は一時、騒然となった。しかしそれは次の瞬間、歓喜と狂喜の渦に呑み込まれ、その場にいた全員による熱狂的なヒップホップダンスタイムへと変わっていったのである。

 

トップページに戻る